高崎山の猿フェス

大分に猿のテーマパーク「高崎山」というのがある。
福岡県の小学校の修学旅行は、別府と高崎山、というのが定番だった。
猿の世界では、ときどき総裁選みたいに、ボスを決める選挙?みたいなんがある。
ケンカが強い、というのはもちろん大事な条件だけど、それだけでは、ボスになれない。
「女にもてる」というのが大事らしい。
総裁選の候補の顔を思い浮かべてみる。「女にもてる」というのは、どのひとやろう?
サルにもそっぽを向かれそうな顔、面々。

木曜日は「焙煎教室」。シンコロが落ち着いたら、墨田区でカフェを開く予定の女子が
入門してきて、まじめに勉強している。もうひとり、「入門希望」の人がいるのだが、
三密になるので、その子の卒業まで待ってもらっている。

13時ころ教室が終わり、珈琲を飲みながらボーとしていたら、おかまのMくんがチャリンコに
のってやってきた。「誕生日おめでとうございます。これ4つもらったんだけど、一個誕生日祝いにあげるわ」
といって、梨をくれた。手にとると、焼き芋のようなあたたかさ。
Mくんは、エアコンなし、冷蔵庫なし(10年前にあげたのだが、コンセントに一度もささないまま)の生活を
している。だから梨も焼き芋状態になる。ママチャリで毎日浜松町のバイト先まで、押上と往復しておられる。「ただもの」でない、おかまさん。

天真庵のカウンターの上に、スカイツリーの方角をにらむ猿の彫刻がある。五穀豊穣を祝う
能などにもよく登場する「三番叟」(さんばそう)だ。京都御所にも、鬼門の比叡山の方角を
にらむ猿がおかれている。高天ヶ原から神様たちが降りてこられる時に、先導してくれたのも猿で~す。
猿田彦神社というのも、各地にある。巣鴨地蔵通りの入り口にもあるよ。
その三番叟も、何年か前にMくんがもってきてくれた。「ネットで買ったんだけど、昔つきあった女(男?)
の顔に似てていやなのであげる」とのことだった。

「この掛け軸、まだホンモノかどうかわかないけど、ネットで落としたの。」
といって、見せてくれた。また猿だ。
でも飄々としていて、おもしろい。「誰?」と聞くと、「ドスト氏」という。
「え、ほんと・・?」と問うと、「たぶん」といってニヤリと笑った。梨だけだと悪いので、おまけのお祝いにあげる、とのこと。
今年101歳で昇華された彫刻家であり、書家でもあり、なまずの絵を飄々と描いた画家でもある、関頑亭さん。
山口瞳さんの随筆に「ドスト氏」として、よく名前がでてくる。ドストエフスキーからとったあだ名。

二階の床の間に飾ってみた。かわいいお弟子様から誕生祝いに調合してもらったオイルの香りを聞きながら眺めていたら、
その猿が三番叟を踊りはじめた。オイルの名前は「高」。高崎山の高?高天ヶ原の高?どちらにしても高貴な香りがする。感謝。