鼠大根と猿梅

能登の梅を干し終え、今朝は紫蘇をとって、これから東京へもどる。

梅仕事が始まる年のとある春のおわりの佳き日。オカマのMくんが「これ読んでみて。とってもいい本だから
読んだら必ず返してね」といって、「百年の梅仕事」という本をもってきてくれた。三番叟(さんばそう)の猿
といっしょに「今年は申年ね。わたしたちが活躍する年(Mくんもぼくも申年つながり)
その日から何日かして、能登に移住した三輪福さんから「家の畑でとれました」といって、青梅が
一箱50kくらいが、突然訪れた。不思議なシンクロニシティーみたいだけど、昔から「猿年の梅はいい」
とわれる梅を漬けてから、梅林ガールズたちと「梅仕事」が続いている。その間に、こちらも能登に半分移住することになった。

今朝は、いつものように、海にタコを釣りにいったら、サザエをとる伝馬船が港にたくさんいたので、
シーバス釣りの竿に変え、港の隣の砂場の海に投げ入れた。今はまだ時期ではないけど、来月から
そのあたりで「ヒラメ」が釣れる。砂場といっても、底には岩場もあり、ドーバーソウルではないけど、
海の底に生育するヒラメやカレーを狙うには、ルアーが根がかりしやすいので、どこに岩があり、藻がしげっている、
とか、そんなことを確かめるようにリールをまいたりした。

帰りに、海の近くにある「腐りかけた空き家」の庭に生育している葉蘭(はらん)を、納屋にあった小さなスコップ
で掘って、「さつきの畑」のさつきの木の陰に植えた。
その家は、茅葺屋根で、葉蘭のほかにも、ツワブキや椿や、木賊(とくさ)、しゃがなど、茶花に使う植物が
主なき後も、季節ごとに元気な花を咲かせたりしている。きっと、お茶やお花をしっかり楽しまれたような家人が
住んでおられたのだろう。雨が少ないので、うまくつくかどうか不安だけど、大きく深呼吸して、お空の星と
さつきにお願いして、うめ星水をまいた。

畑には、小布施で昨年買って植えた「ねずみ辛味大根」の種を、二畝蒔いた。
これも、ほんとうは、来月あたりにまくのがいいと思う。昨年は、この種のほかに、「蕎麦用大根の種」
と「ゲキ辛大根の種」をまいたけど、結局「ねずみ・・」が一番、この土地にあいそうだし、
今年の干支が「ねずみ」なので、これまた星に願いを、で、うめ星水をまいて天にお願いしてみた。
「自然農」というのは、まこと、ほったらかし、というか、無為自然によりそいながら、おまかせする、
ような農法。近所の先輩農家さんたちに「そんな草ぼうぼうでは・・」とか、いろいろアドバイスを受けたり
するけど、タコ釣りといっしょで、「無手勝手流」だ。
植えた葉蘭を見て、筆子さんが「またお茶のお稽古でもするの?」と、質問するので、「花の教室をしようか、と思っとる」
と答えた。昔から池坊で葉蘭を5枚から奇数で7枚・9枚・・と竹筒にくばりという花どめをして生ける。
ぼくは、3枚ですかっと生けるのが好きだ。その生け方は「波乱万丈流」という。
ほんとうは、ひらめが釣れたら、「鮨フェス」をやろうか?なんて勝手に妄想して、その時は、久保さん
の黄瀬戸か志野の大皿に、その葉蘭を敷いて・・・なんてね・・・田舎暮らしは、夢や宝がいっぱいのほか、季語や話のタネも
いっぱい。すしのネタも近くの海にいっぱい泳いでいる。感謝。