半農半X(えっくす)

昨日は、ねっと21の若手のメンバーだったAくんが、梅雨中で一番のお客だった。
知り合って20年以上もたつので、いいおっさんになった。
菓子折りをもって、どことなく、「旅立ち」のようなすがすがしさが漂っている。
「田舎にもどって、新しい生き方をします」とのこと。
「能登と東京のデュアルライフの番組を見て、かみさんと話し合い、きめました」とのこと。
「長いことお借りしてた本、かえしにきました。」といって、「半農半Xな人生の生き方」(塩見直紀 遊タイム出版)
をかえしにと、引っ越しの挨拶をかねて、蕎麦を手繰りにきてくれた。まさに「引っ越し蕎麦」だ。

「半農半X」のエックスは「天職」というか、「自分らしい何かをみつけて生きる」、という意味で、
「何か違う生き方をしたい」と模索する若者たちにエールをおくり、田舎暮らしをする人たちのバイブルのような
本だ。梅仕事が終わり、夜酒を飲みながら、読み直した。これから「新しい人生を」と思う人におすすめ。
この本がでたのが、2007年10月20日。本の裏表紙のところに、
「Think Mission!2007年・10・27 塩見直紀」とサインがあった。
天真庵が押上に結ばれて半年のころ、塩見さんが蕎麦を手繰りにきてくれた。大本教の生まれた
京都の綾部で活動しておられる。最近、知人がカフェをつくったので、この夏のどこかで、綾部に
いこうと思っていたところでもある。各地に「限界集落」がある。綾部は、その代表選手みたいなところだったが、
「ひとり」(彼)がUターンして、各地のこころざし高い人たちの「エックス」が集まってくると、街はかわる。
シンコロナイズされた「今」は、そんな「エックス」が、出雲の神様よろしく、縁あるところに、一気呵成に集まっていく、
そんな時代だろう。誰もみな、自分のことが、一番見えていないけれど、誰にも未見で素敵な「エックス」がある。

今日日の政治家が発する言葉は、軽佻浮薄以上に「軽い」けど、市井の「ひとり」のほとばしる言葉
は、時間が経過しても朽ちないものがある。「半農半X」はまさにそんな魂の座右の銘。

昨日、献血をお願いしたユーリが今朝、旅立った。明け方の夢に挨拶にきた。
「のむら暮らし」の4月に、能登の畑をいっしょに耕し温床をつくる写真がのっている。
たった一日しかふれあわなかったけど、お互いの「エックス」と「農」
が、濃く交差して、気持ちのいい一日だった。鎮魂。