あご あご酒 そば前

九州では、トビウオをことを、アゴという。
一説には、「アゴが落ちるほどうまい」からきているとか?
干したものを焼いて出汁をとる「焼きあご」でつくる面類の出汁
は確かに、顎落ちレベルではある。フグのヒレ酒とはまた違った美味。

能登でもトビウオをことをアゴという。九州の漁師や海賊たちが、海女の文化や
漁法を伝えた、ということもあり、地名や神社や魚など食文化も、共通点が多い。

昨日は午前中に焙煎しながら、焼きあごの到着を待つ。天真庵では、焼きあごを
あつあつの燗酒に入れて「あご酒」なるメニューがある。隠れた人気メニューだ。
12時前に届いたので、午後はぶらり散歩。

四つ目通り(スカイツリーの近くの道路)を、まっつぐ、錦糸町方面へ歩く。
駅前にロッテ会館があり、いつもはそこのブックオフで本を探すのがならわしだが、
昨日は通り過ぎ、一年前にできたパルコも左手に見ながら通りすぎ、首都高のガードも
くぐって、100mくらいのところにある「キャスティング」という釣具屋にいく。
蛸釣りのルアーを買うのが目的。秋のアオリイカをルアーで釣るのを「エギング」
という。蛸は「タコエギ」いうねん。アジも最近はルアーで釣るのが流行っていて「アジング」
なんていう名前で呼ばれてるんや。なんでも横文字にすると「おしゃれ~」な日本人のコンプレックス
みたいな感じが否めないが・・

さすがに関西では、蛸釣りが盛んで、人気のあるルアーに「タコやん」というのがある。
そのルアーを海底に沈め、ゆっくりひくのがコツ。関西ではそれを「ズル引き」という。そのまんま「ずるっと引く」だけ。
「タコやんでズル引きしてタコ釣ったで~。、これからたこ焼きすんねん。ビールでも飲んでいかへん?」
横文字より、こちらの泥臭さのほうが、自分は好きだ。定員さんに「タコやん置いてますか?」
と聞くと、「あれは関西で流行ってるので、こちらにはない」とのこと。
同じ国に住みながら、九州には九州弁があり、大阪には大阪弁があり、東京には江戸弁がある。
そこに泳ぐ魚にも、言葉や好きな食べ物の差があるんやろか?そんなことをふと思って、
ルアーはネットで「タコやん」を買うことにし、レジの近くにあった「魚ばさみ」(最近ルアー釣りの人は、生きたエサ
をつかむこともしない。釣った魚も炭ばさみみたいなんではさむのが流行っているようだ)を380円で買い、
もどってきた。

戻りも高速道路を渡る。そのへんから左にいくと、ラブオテル街がある。車も少ないけど、さすがに
人もまばら。せっかくなので、寄り道(といってもひとりなので、ただウィンドショッピングみたいに、見るだけやけど)。
入り口におしゃれな焼肉屋さん。吉原の入り口に有名な馬肉屋(江戸では、けとばしや、とかいう)がある。
遊ぶ前に精力つけて、といって男たちが立ち寄った。すこぶる単純でわかりやすい。
ラブホテルの中にも、「コロナ感染予防のため、駐車場のご利用は禁止」という張り紙をしている。
電車にのってくるより安全なような気もするけど、「そうなんや」と思いながらブラブラとラブホテル街を歩く。
マスクをした男女が、自粛中やけど、「我慢できへんわ」よろしく、入っていかはる。
濃厚接触の中で感染をさけるため、マスクしたままするんやろか?恋は命がけやな~

ラブホ街の出口?に、「亀戸餃子」を発見。本店も亀戸の駅前の猥雑な路地の中にある。
けとばしや、と同じく、「いざ鎌倉」の前にいくのかいな?。
そばを手繰る前に飲む酒のことを、「そば前」という。けとばしやや亀戸餃子で飲む酒は「する前」・・?
そんなばかなことを考えながら、ひとりで下町散歩。
散歩も酒も旅も「ひとり」がいい。寺山修司にこんな言葉がある。

同じ鳥でも飛ばない鳥はなあんだ~
それは「ひとり」という鳥だ。

さすが・・・トビウオでこんなのもあるよ。

子供ってのは、トビウオみたいなもんさ。
時期が来るとかえってきて、また遠ざかっていく。
遠ざかってゆきながら、だんだん大きくなるんだ・・
それを待ちながら年老いていくのが母親だよ。

「家出のすすめ」に、彼の哲が凝縮された言葉がある

望郷の歌をうたうことができるのは、故郷を捨てたものだけである。
そして母情をうたうこともまた、同じではないでしょうか?

長引く緊急事態で、「家族のありかた」なんかを、しっかり考えさせる今日このごろ。
本が読めたり、ゆっくり考え事ができたり、哲しながら散歩ができたり・・いいこともいっぱい。