能登流おもてなし

昨日は金沢からお客様。金沢も震度3あって、家族4人がびっくり飛び起きた・・らしい。
朝近くを散歩しながら、菜の花、水仙、藪椿・・・などを調達。
玄関の信楽の大壺、床の間の掛花、越前焼の小壺などに投げ入れた。
菜の花・・・これは都会では気づかなかったけど、大小いろんな種類がある。

「さつきの畑」の脇に、自然に群集している水仙がある。冬は風が強いので、
ダーウィンの進化論のように、この土地にふさわしく、背が低い。
原田先生に習ったように、袴をとって、4枚の葉を上手にバランスよく並びかえ、
凛とした一輪を、備前の鶴首徳利のに入れようとするとしても、なんとなく背が足りない。
しかたないので、違う生け方にした。一期一会だ。

客人がくる時は、車で10分ほど走って、能登の名水を汲んでくる。
蘇東坡(そとうば)の詩・・「賞心十六事」の一行・・客の至れば泉を汲んで茶を烹(に)る
の心境。テレビ放映以来「とんさま」が人気ナンバーワンメニューに輝いている。
中華料理の(角煮)は、東坡肉(トンポーロ)と書くごとく、蘇東坡がつくったものである。
中国の文人たちは、日本に過大な影響をあたえてきた。

この水で茶や珈琲を入れる。海が荒れていない時は、海の魚を釣って、刺身にすることもある。
この界隈には、酒屋兼萬屋さんが一軒あるのみなので、花と茶と魚と地元野菜・・・が中心。
金沢の家族は、親戚のような関係なので、いつも金沢の素敵なパンや、市場で魚やおやつまで
金沢の季節のものを運んできてくれる。小学校の子供(おんなのこ)たちも、コロナの影響で
学校が休校になり、上の子は、能の謡いの発表会も中止になったので、うちの玄関の間が
にわか能舞台になって、練習した謡いを披露してくれた。

金沢は、文化的なことに理解ある土地で、茶も盛んだ。能とお茶をはじめたというので、
久保さんと東大寺の「えらい坊さん」の清水公照さんのコラボした抹茶茶碗をひとつさしあげた。
前日の地震で壊れなくてよかった。形あるものは、みな消えていくのが定めだが・・
そういえば、彼女たちの母は、名うてのヴィオラ奏者で、ぼくのお茶のお弟子様のひとりだ。
この次に遊びにこられる時は、「煎茶会」をする約束をした。
家族と濃密な時間を過ごすことにあいなった春。みんなで「茶」を楽しむ、もよし。

今日は、もうひとつの畑(家の横)の種まき。自給自足率を少しあげつつある?
今朝は、今朝あがったイワシを手でさばいて塩焼き、みそ汁は隣の畑でとれた大根・人参・玉ねぎ
に、昨日金沢から飛んできたお揚げを入れ、東京でつくった「黒豆味噌」。香のものが「いぶりがっこ」
うぐいすが春を告げるさえずりの練習を聴きながらの朝餉。      知足の朝に感謝。