枕を持ってきなさい・・・

昔の芸事なんかで、師匠が異性(同姓もあるか・・)のお弟子様に、そのようなことをよくいったらしい。
でも、ほんとうに芸達者なお弟子様は、反対に師匠を喰って芸のこやしにした。
陰陽の妙であり、「ゆらぎ」の神秘みたいなもんか?天地自然の理でもあります。

落語にも「枕」があり、とても大事なもんや。
本題に入る前に、時節のことを話したり、小咄などをして、客をほぐらせて本題に入る。
その間が、お客さんと噺家との一体感を醸し出す。
和歌にも「枕ことば」というのがある。いたす時の「前戯」も大事やね。あれも「まくら」やねん。

昨年まで、東京オリンピックバブルで、この界隈にも地上げ屋風な不動産屋がよく飛びこみできた。
地上げ屋「いいお店ですね・・・・ここビルにしませんか?」
すごい「マクラ」だ。アベコベいうか阿部首相のような支離滅裂な日本語。
返事をするのもアホらしいので、無言で「でなおせ」という目をして負い返す。

消費税が上がり、コロナウィルスの影響もあり、経済にもマイナスな要因になってきた。飲食という業界も
すぐに打撃を受ける。昨日は、二階で「普茶料理」の予約が入ったので、夕方、そば寿司などを仕込んで
いたら、スーツをきた若者が玄関をノック(だいたい丁寧にノックして入るのは、飛び込み営業)して
入ってきた。いつものように「しか」としながら仕込みを続けていると、
「わたくし、飲食店の集客アップをお手伝いしているものですが・・」という、ありきたりの「マクラ」で挨拶した。
「そんなん、簡単やで。座って珈琲注文してくれたら500円の売り上げアップや」と答えた。
痛いとこついてるけど、これは本音である。プロというのは、無駄なことにお金はださないし、タダで接客はしないものだと思う。

6時から「普茶料理」。隠元和尚が「普(あまねく)く大衆に茶を施す」ということだまで、
黄檗山を建立し、茶・禅・普茶料理を広められた。
この会の「まくら」は、煎茶を喫するところから始まる。そして同じ器で、酒を飲む。
軸は「寒山拾得」・・・箒だけを書いた不思議な軸。
最近は、隕石入りの器「わびすけ」で飲む、というのがならわしになってきた。
昨日は「開華」という立春朝搾りを飲み、その後は奈良の「百楽門」などをだした。
音楽は「カナタ」・・・さすがに上場会社のトップの人たち。。
「これどなたの曲?」からはじまり、しめの時には「来月、ここに遊びにいってきます」とのこと。
「まくら」がよければ、すべてよし。都都逸にこんなんもある!

♪横に寝かせて 枕をさせて 指で楽しむ 琴の糸

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