テレビ金沢 「となりのテレ金ちゃん」

3日ほど前、近くの漁師さんが「いつか珈琲豆をいただいたおかえし」といって、
かわはぎを5匹くれた。
ちょうど木曾村から金沢にこの春もどってきた木工の般若くん一家が遊びにくる日だったので、
山育ちの子供たちに、かわはぎの捌きかた(まさに皮をはぐ)を伝授して、きもといっしょに
「能登の海の幸」を堪能した。

これから秋が終わり、雷とどろく冬になると、雷が鳴るたびにブリが寒ブリになっていく。
ブリは出生魚で、その縁起から正月の食べ物のして全国の食卓にあがるようになった。
ブリになる前の魚を「フリ」という。ウソ!北陸では「ガンド」という。寒ブリほどあぶらは
のっていないが、「あすはブリになろう」というあすなろのような若さがすがすがしい。
「コゾクラ→フクラギ→ガンド→ブリ」・・これを頭に入れて界隈の寿司屋にいくと、肩の力が抜けて酒が美味い!

般若くんちのガンドのような女の子ふたりが遊びにきて、ふだんは子供の声が聞こえない集落が
にぎやかだった。天真爛漫な子供たちを見ていると、なごやかな気持ちになってくる。
この能登の魅力は、一口では言い得ないけど、「俗に紛れず稚気あふれる人たちがあまたいるとこ」
のような気がしてきた。「能登はやさしや土までも」という名言があるけど、この地に生まれ、
この地で土になるまで生きる人たちは、とてつもなくやさしい。

昨日はテレビ局の取材で、梅茶翁にいく。テレビ金沢の人たちが、東京の天真庵、志賀町の家、そして
能登町の梅茶翁に合計3日カメラをもってきて取材された。
今週の木曜日の「となりのテレ金ちゃん」の6時過ぎに放映される予定らしい。
「東京と能登の二股暮らし(デュアルライフ)」がテーマ。なかなかこの距離の往復は、若さよりもバカサ
を必要とする。「金沢と能登のデュアルライフ」はこれからおおいに流行するのではなかろうかしらん。
「東京と千葉」も多いし、「東京と信州」も距離的にいい。ようは、「仕事と遊び」「オンとオフ」のメリハリ
をつけて、精神的な均衡を保つ、ということではなかろうか?撮影をしながら、そんなことを思った。

撮影が終わり、梅茶翁のスタッフさんたちと、煎茶を飲んだ。座敷に茶櫃(茶たくや煎茶碗、茶巾、茶合などが入っている)
や、こぼし、涼炉・・などが揃っていて、「ひさしぶりにお茶をいれて」という声なき声が聞こえたので、リュック
にしのばせている携帯用の茶入れに入った星野村の煎茶をだして、入れてみた。
梅茶翁は、江戸時代の奇想天外な奇僧で煎茶の世界では利休のような「売茶翁」(ばいさおう)から命名された。
お茶道具を背中にしょって、下鴨の糺の森など風光明媚なところで、お茶を入れ、文人たちと茶を楽しんだ。
茶店をだすときは、自分で揮毫した「清風」という旗をたてていたそうな・・
梅林のある梅茶翁の座敷でお茶を飲んでいると、虫のすだく音といっしょに、秋の風がすすきをゆらす音がした。
まさに「清風」である。天恩感謝。