水墨の独白

そんなテーマの展示会を四谷の「駐日韓国文化院」でやっている。(11日まで)
先月四国で南條先生の卒寿があった。南條さんの寒山拾得の作品の画集がある。
それは、かつて四谷にあった会社がつくってくれた。ぼくのつまらないエッセーみたいなもんを
出版してくれた会社も四谷の消防署の近くにあった。コンピュータの会社もいっぱいあった。今は昔、だ。
界隈を散策していると、過去と今と未来が交差した。

韓国の伝統文化を、「白と黒」で、継承するもの、守破離よろしく新しいスタイルで表現するもの、
過去と未来をいったりきたりする面白さと、そこを逍遥する作家たちの苦悩と希望みたいなものも見え隠れ
して、たいへんおもしろかった。あららめて、水墨・・「白と黒」の奥深い宇宙みたいな時空に圧倒された。
後ろに静かに奏でている韓国の古い琴の音も風雅で、日本といったりきたりしながら影響を与えてきた
長い時間をふわ~と包み込むようなやさしさがある。両国の人びとがみなこんな気持ちになったら、
ふわ~が広がって、いまのような不和がなくなるのではなかろうか。誰かの策略かね?もっと仲良くすればいいのに・・・

天真庵にも韓国の器や李朝の家具がいくつかある。一時は毎年のように韓国にいき、仁寺洞(インサドン)
という骨董の町であり、伝統茶屋や伝統工芸品店が多く、あやしい店も多くあるが「韓国の伝統の香りが漂うとこ」
をめぐって、いろいろなものを買い求めた時期があった。
夏になると、涼やかな音でなごます風鈴もそうだ。バンダジ(李朝家具)も二階に鎮座していたし(今は能登)、
二階で「普茶料理」をやる時は、李朝の膳が活躍する。
たぶん、われわれのDNAの奥底には、共通する「何か」がきっとあるに違いない。

和の文化は「ごちゃまぜ」という人がいる。うまく調和しているものも確かにある。
四谷から御苑、新宿まで久しぶりに散策してみた。建物もお店も、ずいぶん風変りしている。
今の東京は「自分中心の天動説」「いったもんがち」「なんちゃって○○」みたいなものであふれている。
来年はオリンピックで世界中からいっぱい人がくる。そんな街の「何」を見にくるのだろう・・・?
知り合いの珈琲屋で一服しながら、そんなことを思った。感謝(カムサムニダ)。

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