ポンジュースの里

日曜日19日まで愛媛は今治の「タオル美術館」で、南條先生の「回顧展」をやっている。
久しぶりに今治にやってきた。今年卒寿(90歳)のお祝いでもある。
造船とタオルとポンジュースの里でもある。ぼくはとりわけ、ポンジュースが好きだ。

能登の天真庵は「寒山拾得(かんざんじゅっとく)美術館」。
南條先生の寒山拾得の絵を中心に飾っている。天真庵のHP
のあかりちゃんをクリックすると、平成7年から池袋でやっていた「南條観山展」
の写真などがでてくる。さすがに主役の先生が90歳になったこともあり、
写真にのっている人たちも黄泉の国にいった人もかなりいる。人生はまことに短い。

「もう最後じゃわね」というので、ふたりで記念撮影。腕を組まれた・笑
期間中ずっと朝10時から5時まで会場にいらっしゃる。四国はお遍路さんの町で
弘法大師とお遍路をする旅人を「おせったい」する文化が浸み込んでいるところだ。
先生には「寒山拾得」の世界へ誘ってくれた恩だけでなく、「生き方」を教えていただいた。
エスカレータのところで、見えなくなるまで静かに手を振っておられた。

先日能登の家をでた後、「コイノボリ食堂」でカレーを食べた。
ここの主人は、こないだの「虹の戦士」の時に、出会った。世界を放浪した後に
能登にもどってきて4年前にお店を開店。移動販売や典座(てんぞ)のように、ときどき寺
のイベントでまかないをやっている。典座は拾得(じゅっとく)である。
今日も「タオル美術館」の食堂で海鮮カレーを食べた。

南條先生も絵描きになる前は、養豚をやっていて、ひがな一日、残飯を集める仕事を
しながら夜中に絵を描いた。昼ごはんは3年くらい毎日カレーをいく道の「食堂」で食べたらしい。
「やすいし、栄養もあるんよ。」と笑っていた。そのころの豚の絵が飾ってある。
「生きていくため」とはいえ、豚をトラックに積んで「屠殺場」に連れていく矛盾みたいな
複雑な心境が吐露されていて、切なくなるがいい絵だ。
お店のピアノの横には「泣くも 笑うも 人生よ」をかけている。
真剣に生きてきた人の味わい深い「書」だ。

人も豚も虫も鳥も 必死に生きていく 毎日毎日が生き死にの瞬間