人間は虻(あぶ)以下か?

アメリカの株価が30年前の「ブラックマンデー」のと類似点が多いそうな。
井原西鶴が「人間は欲に手足がはえたもの」という表現は古今東西を問わずものがな。
「虻く銭」ではないけど、欲に目が眩む、というけど、目先の金にとらわれると、
近視眼的な景色しかみえない。選挙の真っ最中だけど、あべちゃんを含め、そんな輩の多いこと・・

禅の話にこんなんがある。
ある関西の貧乏なお寺でたてつけも悪く、すき間だらけで、冬はすーすーす(九州弁)。
そこに飄々とした老師がいて、ある日男が身の上相談にいった。すると、どこかのすき間
から虻が入ってきた。あわてて逃げようと前向きに飛ぶけど、窓などにぶつかり、気絶したように畳に落ちたり、
また挑戦して同じことを繰り返していた。老師は、男の相談なんかどこ吹く風で、虻の動きを楽しそうに見て笑っている。

しびれをきらした男が「老師さんは、私の相談ごとより虻のほうが楽しいのですか?」と尋ねた。
「ここからしか出ていけへん、と思っている虻が不憫でな。でも人間もよう似たことやってますな」と答えた。
男はその瞬間に悟って「ありがとうございました。私も虻でした」といって畳に頭をつけた、とのこと。
老師が「お礼はわしではなく、虻にいいなはれ」といったとか。いい話である。

今日も冷たい雨が降ってきた。昨日は家の手あぶりに炭を入れ、夜はそこに鉄瓶を置き、角居くん
の錫のチロリに剣菱を入れて飲んだ。お茶では「炭開き」とかいう。炭のやさしい色、慈悲深い香り、酒・・
秋の長雨もまたよろし。つまみ?   虻ったイカ、は如何?    感謝。