甕の雫 地球が発酵する一滴

先月、ヨガの先生が、不思議な作曲家を連れてきた。
CDに「宮崎」と書かれていて、それをかけたら、なんやら
地球のマグマが、ブクブクと活性しているような感じがした。

「なんの音ですか?」ときくと、「焼酎が発酵している音」だとおっしゃる。
その音を聴きながら、焼酎を飲むと、体の中の焼酎の活性も活発になり、
より美味しくなるそうだ。宮崎の「甕の雫」というイモ焼酎。大量生産の時代に
伝承つくりにこだわり、無農薬のイモを使って古式な製法でつくっている酒蔵さん。

ぼくのお弟子様が毎年もってきてくれる焼酎でもあり、甕と柄杓も大事にとってある。
昨日はその空っぽになった甕と柄杓を使って、今年の新茶の玉露の「ちゃぶ台手前」をした。
なんとも風流なお茶会になった。

会がおひらきになった後、中野の「ポレポレ東中野」にいき「人生フルーツ」を見る。
汗ばむこの季節に、冷たい玉露の甘露な妖精が体中に浸透するような、さわやかな映画だった。

「風が吹けば、枯葉が落ちる。枯葉が落ちれば、土が肥える。土が肥えれば、果実が実る。
こつこつ、ゆっくり。人生、フルーツ」
この言葉が映画で何度も流れる。しかも樹木希林さんの声で。彼女の名前には、木が三つも
入っていることに気づく。木の妖精につつまれるようなやさしさがある。
素晴らしい映画やね、ほんま。